クルマ 解説シリーズ

ランクル70徹底解説

投稿日:2020年4月16日 更新日:

今回の記事はトヨタが1984年より製造、販売を続けている四輪駆動車であるランドクルーザー70について徹底的に解説していこうと思います。宜しくお願いします。

ランクル70の生い立ち

1984年11月にこれまでのランクル40系の後継として登場しました。元祖ランクルであるトヨタジープBJから20系、40系、70系と直系で続いてきたモデルになります。日本国内においてもショートホイールベースとミドルホイールベースの車両が発売されました。そして1990年にセミロングホイールベースが追加。1999年にはフロントサスペンションがリーフからコイルに変更されました。そして2004年7月に日本国内での販売を一旦終了しました。それから10年後の2014年に期間限定で復活販売されました。

70系の前身40系

ランクル70の種類

ランクル70は長い期間、多くの地域にて販売されている車ですので多くのバリエーションがあります。バリエーションについて様々な観点から見ていきましょう。

ホイールベースは5パターン

同じ車種でホイールベースが5種類も設定されていること自体珍しいのではないでしょうか?

①ショート 2310mm

まずショートホイールベースです。70系の中で最もホイールベースの短いモデルです。ボディタイプとしてはスチールルーフタイプと幌タイプになります。このモデルの前後リーフサスの車が「70」と呼ばれ、前コイル&後リーフの車が「71」と呼ばれています。

②ミドル 2600mm

ミドルホイールベースも発売当初から日本国内で設定されていました。ボディタイプとしてはFRPトップのみ(日本国内)となっておりました。このモデルの前後リーフサスの車が「73」と呼ばれ、前コイル&後リーフの車が「74」と呼ばれています。

③セミロング 2730mm

セミロングは1990年に追加されたモデルとなります。そして2007年のマイナーチェンジまで海外での販売が無かったことから2004年までは国内専売仕様でした。また、2014年の再販時にも販売されましたボディタイプとしては4ドアのワゴン形状となります。デザイン的なアクセントはCピラーの造形とリアに回り込んだクウォーター部分の窓でしょうか。この局面窓はどこか40系を意識させます。このモデルの前後リーフサスの車が「77」と呼ばれ、前コイル&後リーフの車が「76」と呼ばれています。

④ロング 2980mm

ロングホイールベースは唯一日本国内での一般向け正規販売の無かった車両になります。ボディタイプとしては前後リーフサスの物ではピックアップトラックと2ドアロングバン(トゥループキャリア)。日本国内では消防車も存在します。前コイル&後リーフの物では2ドアロングバンのみの設定です。このモデルの前後リーフサスの車が「75」と呼ばれ、前コイル&後リーフの車が「78」と呼ばれています。

⑤スーパーロング 3180mm

スーパーロングは1999年のマイナーチェンジで追加されました。ピックアップトラックの居住性改善を図る為にホイールベースが延長されました。キャビンが狭いという声が多かったそうです。ボディタイプとしては2ドアのピックアップトラックと2012年に追加された4ドア(ダブルキャブ)の2種類となります。また、こちらも日本国内では消防車が存在します。以前は国内一般向け販売は有りませんでしたが、2014年の再販時にはダブルキャブが販売されました。このモデルは「79」と呼ばれています。

70系のエンジンは多種多様

販売年数が長く、販売地域も多い70系には多くのエンジンが設定されていました。

国内設定されたエンジン

①3B ディーゼル 直列4気筒 OHV 過流室式 3431cc 

40系にも設定されていたエンジンになります。NAのディーゼルエンジンとなります。(1984~1990)

最高出力:91ps 最高トルク:21.9kg・m

②13B-T ディーゼル 直列4気筒 OHV 直噴式 過給器付き 3431cc

こちらは40系には設定の無かったエンジンとなります。特徴はターボ付きである点ですね。(1984~1990)

最高出力:120ps 最高トルク:29.0kg・m

③1PZ ディーゼル 直列5気筒 OHC 過流室式 3469cc

国産車では珍しい直列5気筒エンジンを搭載しています。これ以外だとホンダのインスパイア系のクルマぐらいしか無いと思われます。基本的な設計は後述の1HZエンジンからシリンダー1個を省いた物となっております。基本的には廉価グレードに搭載されました。(1990~1993)

最高出力:115ps 最高トルク:23.5 kgm

④1HZ ディーゼル 直列6気筒 OHC 過流室式 4163cc

70系では一番長期間に渡り搭載されているエンジンとなります。直列6気筒のNAディーゼルエンジンです。今なお排ガス規制の緩い地域向けのランクル70やマイクロバスのコースターに搭載され、販売中です。(1990~)

最高出力:130ps 最高トルク:29.0kgm

⑤1GR-FE ガソリン V型6気筒 DOHC 3955cc

2014年の国内再販時にも搭載されました。ゼロクラウンで登場したGR系V6エンジンの最大排気量仕様です。プラドやFJクルーザーにも搭載されていましたが70系の場合はハイオク仕様となっております。(2009~)

最高出力:231ps 最高トルク:36.7kgm

国内向けに搭載されていたエンジンは以上となります。次に海外向けにのみ搭載されたエンジンです。

海外専売のエンジン

①2H ディーゼル 直列6気筒 OHV 過流室式 3980cc

40系や60系では国内でも設定がありましたが70系になり設定が消滅しました。(1984~1990)

最高出力:110ps 最高トルク:24.5kgm

②1HD-FTE ディーゼル 直列6気筒 OHC 直噴式 過給器付き 4163cc

こちらは国内でもランクル80及び100に搭載されたことで有名なエンジンです。日産パトロールとの競合で商品力アップの為、70系へも2001年から搭載されました。(2001~2006)

最高出力:205ps 最高トルク:44.0kgm

③1VD-FTV ディーゼル V型8気筒 DOHC 直噴式 インタークーラーターボ 4461cc

トヨタ初のV8ディーゼルエンジンです。ランクル200には更にパワーアップされたツインターボ版が搭載されています。またこのエンジンを収める上でエンジンルームのスペースが足りなかった為、2007年のマイナーチェンジ時にフロントを大幅に変更することになりました。(2007~)

最高出力:205ps 最高トルク:43.8kgm

④3F ガソリン 直列6気筒 OHV 3955cc

60系にも搭載されたエンジン(1984~1992)

最高出力:155ps 最高トルク:29.5kgm

⑤1FZ ガソリン 直列6気筒 DOHC 4477cc

ランクル80系に搭載されていたエンジンです。(1992~2009)

最高出力:215ps 最高トルク:38.0kgm

途中で小変更があった物もありますが基本的に70系に搭載されたエンジンは以上となります。

年式による外観の違い

やはり車好きの方は気になるポイントなのではないでしょうか?長きに渡って生産されている70系は前期後期という区切りでは語れないレベルで変更されています。

フロントグリルの違い

1984~1990

40系を思わせるメッシュ状のフロントグリルとなっています。

1984~1990のグリル

1990~1995

メッシュ状のデザインから横3本棒のグリルに「TOYOTA」ロゴの物になりました。

1990~1995のグリル

1995~1999

「TOYOTA」ロゴが廃止され現在と同じマークになりました

1995~1999

1999~2007

フロントサスがリーフからコイルに変更されたと同時にグリルも変更されました。国内向け及び上級グレードではメッキの面積が増し、近代的な印象です。

1999~2007

2007~

1VDエンジン搭載につきフロント周りが大幅に変更され全幅も80mm拡幅されました。また1VD搭載車はエアインテークが付いています。

2016~

フロントグリルの変更ではありませんが衝突安全性の強化の為にオーストラリア向けなどの一部仕様でラダーフレーム及びフロント周りの変更が行われました。そのため、ボンネットが盛り上がった形状になっています。この改良後の車両はANCAPの64km/hフロントオフセット衝突テストにおいて最高評価である五つ星を取得しています。

国内再販時にオプション設定された「TOYOTA」ロゴ入りグリル。海外向けにも一部設定された。

補助確認装置

車両左前部の確認をするためのミラーです。小さな子ども等を巻き込む事故を防止すべく90年代より車高の高い四輪駆動車に装備されてきました(日本国内のみ)。この部分も年式によって違いがみられます。

1992~1999

車両の左側方を確認できるミラーです。

1999~2004

2面式となり左側方と直前部を確認出来るようになっています。基本的な形状としてはランクル100、200、プラド90~150などと似ています。

2014~2015

少し形状は変わりましたが同じ2面式です。

年表(日本国内)

1984年11月 40系の後継として登場

1990年 搭載されるエンジンが変更される。13B-Tおよび3Bは廃止され1HZおよび1PZとなる。セミロングが追加される。フロントグリルの意匠変更。

1995年 フロントグリルの意匠が変更される

1999年 マイナーチェンジ フロントサスがリーフからコイルに変更され、ホイールハブもPCD139.7の6穴からPCD150の5穴に変更されました。また電装系も24Vから12Vへと変更されました。外装ではフロントグリルの意匠や補助確認装置が変更されました。

2004年7月 国内販売終了 ファイナルエディション等は無くひっそりと終了

長い時を経て

2014年8月25日 登場30周年を記念して翌年6月30日生産分までの期間限定復活販売。駆動系は1GR-FE型ガソリン1種類×5MTでボディはGRJ76K(バン)とGRJ79K(ピックアップ)の2種類となっていました。

10年ぶりに戻ってきたナナマル
30周年記念のエンブレム
トランスミッションは5MT

最後に

いかがでしたでしょうか? 今回はトヨタが35年以上に渡り生産し続ける四輪駆動車、ランドクルーザー70系について解説しました。この記事を通じてランクル70への更なる関心を持つ機会になれば幸いです。この記事は随時更新していく予定ですので宜しくお願いします。

2020年4月16日作成

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